制振合金[M2052]について

n−20Cu−Ni−Fe

マンガン[n]をベースに銅[Cu]20%+ニッケル[Ni]%+
鉄[Fe]
%を添加した合金です。

既存の制振材料に比べ格段に振動減衰力が高く
低周波から高周波まで減衰します。
合金内部の双晶構造によって外部から受けた振動を
緩和させる効果を持っています。

制振工学研究会では、ステンレスの約100倍の
振動減衰性結果を発表。




金材研[科学技術庁金属材料技術研究所]で
開発されたこの素材は非常に入手困難です。
また、最終形状加工後には、真空炉による熱処理が必要で
この処理方法も特殊な技術を必要とします。
しかしこれらの難関をクリアし、この度、製品化
する事に成功しました。


PCケースへの応用と問題点。

筐体のビビリ音を減少させるための手段として0.3mm
ワッシャーを制作してみました。今回は
初めての試みとして、HDD台[3.5in×3bay]に
装着してみました。
PC誌「DOS/V  POWER REPORT」10月号にM2052の
記事がありましたが、HDD、その他ドライブ類を固定する際、
ワッシャーの2枚重ねが有効との結果がありますが、
ドライブ両端に2枚づつ付けて固定しようとするとドライブbayに
入らない可能性が出てきます。
※両端1枚ずつでも装着は無理そうです。
本来ネジとワッシャーをセットで使って本領を発揮するのですが
思っていた以上に強度がなく[オスネジ]、A7075[Al-Zn-Mg系]の強いアルミに
アルマイト処理をしたネジと同等な、そんな感じがしました。
ですので「強く締め付ける」など、もってのほか。
ネジ山がすぐつぶれ、その切削粉で二次災害の
恐れもあり、[最悪、HDDのネジ山を潰す可能性大]、
各種ドライブ類の「直接取り付け」は今回は見送る事にしました。
サウンドカード、ビデオカードへの応用は・・・論外です!
その効果は?
制振合金としては、絶大な効果が期待されますが、
PCケースへの応用となると??です。
HDD、FDD等の微振動が抑えられたとしても
微振動による共振が少なくなるだけで、作動音、アクセス音が
小さくなる訳ではありません。
可能な箇所全てにワッシャーを挟みましたが、
ある種のノイズは消えたかもしれませんが
とても体感出来る物ではありませんでした。

製作上の問題。
加工性は良好なM2052も0.3mm厚になると、ちょっと・・・
非常に粘りの有る材料なので限りなく金型のクリアランスを
最小の、0.06mmで加工しました。
また材料単価が非常に高く、チタンの30倍以上と・・・
量産体制の確立
今まで量産出来なっかた大きな理由として真空熱処理に
問題がありました。1回に処理できる数量が限られ、尚かつ不良率が高い。
M2052販売総代理店の技術と斬新なアイディアで1度に5000個の熱処理を
可能にしました。また、自社でワッシャーを制作することもコストダウンに
大きく貢献しています。
次回は0.5mm厚の座金を予定していましたがやめました。(^^;)